2007年8月15日水曜日

Coca Cola Co.-Brands (ブランド戦略)


8月14日終値$54.14


Coke と言えばまず連想されるのが、その圧倒的な Brand Value である。2007年のグローバルブランドランキング ( Business week ) でも7年連続の No.1 に輝いており、その Value は $65.3 billion (7.7兆円)と計算されている。


Brand Value の計算方法は複雑だが、Total Asset (総資産)の約$30 billion の倍以上の無形資産を Coca Cola Co. は保有することになる。Coca Cola Co. のPBRは現在4倍以上あり、非常に高い水準であるが、このブランド資産を Asset に計上すると、約1.35倍程度に収まる(適正水準の2倍程度に比べると下回るが)。市場はこの Brand Value をかなり高く評価していることがわかる。


しかし何故にこれほどまでに Brand Value が高いのか(高い Brand Value を維持してきたのか)?これはあまり適切な資料が見つからず、推測を交えて分析してみる。


1.ブランドの歴史

 Cokeブランドの持つ120年の歴史は大きな評価材料であろう。しかもその長い期間において nonalcoholic beverage というドメインをぶれることなく守り続けてきた。地道な努力が、歴史を刻む中で、評価を増幅していったのではないか?


2.デザイン

 くびれのある独特なボトル、赤地に Coca Cola のクールなロゴは消費者の心に大きく染み込んでいると思われる。登録商標( copyright )などが、法制化された根拠は Coke のロゴではないか、と思わせるほどにその商標価値は高い。

 ブランド戦略として注目されるのは、昨今のペットボトル全盛期の中で、各社コスト削減のためにボトルの標準化を図っている中で、Cokeだけはくびれのあるボトル(生産コストは他のボトルより高くつくはずである)を頑なに使用している。要するにコスト(削減)よりも、ブランドイメージの維持を優先している戦略は明確である。


3.グローバル展開

 現在 Coke は200以上の国々で売られている(2004年アテネ五輪参加国が202国)が、そのうちの90の国では、地元の人々によって生産されている。中には途上国もあるだろうし、そこで働く労働者や、工場のある街の人々にとっては Coke は胸に大きく刻まれるであろう。

 さらに、それらの多くの国々で独自のブランド戦略をとっているため、それぞれの国にあった形で Coke ブランドが浸透していくようなシステムをとっている。典型的な例は日本である。日本では Coca Cola そのものは(欧米に比べて)人口に比してそれほど多く飲まれていない。しかし日本コカコーラは、(欧米にはなく)日本飲料市場で大きな地位を占める缶コーヒー市場を強化し、ジョージアブランドを育て、40%近い圧倒的シェアを誇っている。そのジョージアが市場に浸透していく背景に Coke Brand が寄与していたことはゆるぎない事実であろう。


さらにスポーツイベントへの協賛や、独特のテレビCM戦略などマーケティング戦略も一流ではあるが、それらはブランドが先か、後かという議論もあるだろう。要するに、これだけの圧倒的なブランドを持てば(その歴史の中でブランドを築いていく数々の苦労はあっただろうが)、マーケティングは比較的容易に優位に進められるのではないか、ということである。




2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

暑い日が続きますね。
今日もダイエット・コカコーラを飲みました。

さて、コカコーラの日本においての戦略ですが、(これから出て来るのかな?)圧倒的な
ブランド力に加え、圧倒的な自販機の設置台数で他社の販売に差をつけてきたと何かで
聞きました。

ただ最近は、サントリー社やキリン・ビバ社
などが積極的に自販機を設置しており、競争は激化していると思われます。

また、商品のライフサイクルも短いように思います。

日本市場は外国に比べて競争激しいように思います。どうでしょうか?

brackcab さんのコメント...

コメントありがとうございます。

確かに日本市場は独特ですね、競争も激しいと思います。

缶コーヒーと共に、日本市場独自の特性は指摘されたように自販機でしょう。日本コカコーラは1961年に日本市場で初めて自販機を設置したと言われています(http://www.drink-shop.jp/vender.htm)。その点では先行者利益を活かして、(自販機を無料で貸与するなど)市場浸透戦略が成功したのではないでしょうか。現在も100万台近い自販機を管理していて圧倒的なシェアを持っているようです。確かにサントリー社やキリン・ビバ社、特にキリン・ビバ社(10年ほど前にはほとんどシェアがなかった:http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~waka/ugseminar/99kato.htm)の追い上げは感覚的にすごいように思います。ちょっと自販機シェアの新しいデータが見つからなかったのですが・・・

ちなみに夏は(安い)ワインとCokeを5:5ぐらいに混ぜて飲むと美味しいですよ。(友人に教えてもらったのですが)ドイツではこの飲み方を何故か「KOREA」と呼ぶそうです。お勧めです。