5月31日終値¥55,700下の様な記事を見つけました。
注目すべきは「最も利用しているコーヒーチェーン」である。トップは、スターバックスの34.7%、次いでドトールの29.7%、この上位2店の合計は64.4%にも達しており、3位以下を大きく引き離している・・・
今やスターバックスは、日本でもイメージだけでなく、利用度でも
ドトールコーヒーを抜いてトップに立とうとしています。日本でも、
喫茶店という形でカフェ文化は100年以上の歴史がある中で、たった10年余りで市場制圧してしまう勢いは驚異的です。
まとめ、ですがスターバックスコーヒーのどんなところが、 「良い企業」なのか?一言で表現すると、
人を大切にする、ヒューマンカンパニー
である、と言えるでしょう。
サービス業とは、人とのつながり、人と人とのコミニュケーションです。しかし、戦後の高度経済成長期、サービス業のあり方とは、なるべく安いコストで人を雇い、原料を購入し、客の回転率を上げる(要するに、なるべく早く客に帰ってもらう)ことによる利益追求をすることでした。
そういう意味ではスターバックスは常識を覆しています。まず、
「パートナー」と呼び、好待遇を(パート・アルバイトを含む)従業員に与え、高品質なサービスを提供しています。
時給は業界平均より高く、一定期間(2年以上)在籍した従業員には、
ストックオプションも与えています。
また、「サードプレイス」、と呼び顧客に(自宅や職場と別の)リラックスできるスぺースを提供するため、店内はソファなどが置かれていて座席は広く取ってあり、スペース効率は非常に悪い、と言えます。リラックスした客が停滞して回転率を下げていることも考えられます。
さらに、
「C・A・F・Eプラクティス」と呼び、主に中南米やアフリカなどに多い生産者に対し(一定の基準を満たした農家に対し)
市場価格より高い値段でコーヒー豆を購入することで、生産者の生活を守り、より良い品質の豆を生産するモチベーションを与えています。
これらの取り組みはすべて、スターバックスが 「人」を大切にしている、ということ表しています。そこで働く人、時間を過ごす顧客、商品を作る生産者、そこには常に人がいます。利益をあげるために人を機械のように使い、モノのようにさばこうとする企業もありますが、スターバックスは血の流れた人間がそのスペースで最高の時間を過ごすために何をすべきかというところに視点を置いている、と考えられます。そして、結果十分な利益をあげています。
スターバックスから学べることは、とにかく企業に関わる「人」、を大切にする、ということでしょう。それは時に目先の利益を犠牲にしても、その多くの「人」の笑顔は廻り廻っていつか必ず企業に利益をもたらすということです。
いくつか課題もあります。
まずは資本構成ですが、スターバックスの株主構成は、40.1%が米国スターバックス本社(の資本管理子会社)、40.1・%が
サザビーリーグという日本の会社によって保有されています。このサザビーリーグという会社は、傘下に多くの雑貨小売店などを保有し、ブランド管理している持ち株会社的な企業ですが、この会社の社長である鈴木陸三氏が、日本にスターバックスブランドを輸入してきた人物であるようです。しかし、40.1%という持ち株率は非常に大きく、またこれらの株は買収防衛策であると同時にいざというときにいつでもスターバックス本部に売り戻す契約ができているものと想定できます。
要するにスターバックスジャパンは、日本の会社として独自性を出すことは難しく、完全に市場に公開されているとは言い難い、ということです。
さらに、
米国スターバックス本部に支払いロイヤリティーと銘打って、43.6億円も支払っており(支払い手数料としてさらに12億円が計上されているが内容は不明)これは会社の当期利益が25.1億円であること、コーヒー豆はすべてを米国スターバックスから購入(233.8億円)しておりその販売利益も多額であること考慮すると無視できない金額です。またこれらの支払いが全て「販売費及び一般管理費」として計上されているため、
高水準の粗利益率(71.3%)に対して、営業利益率(6.4%)の水準は高くないと言えます。
さらに前期配当金(2.1億円)の40.1%も米国本社に支払われます。
これら米国本社との関係は、今後日本でのビジネスが大きくなっていく過程で見直されていくべきである、と感じます。セブンイレブンジャパンやマクドナルドジャパンのように、輸入されたものを日本独自の文化として、日本で育てていく能力も日本市場は持っています。今後スターバックスジャパンが、資本的に独立して、日本らしいスターバックス、高級カフェを創って行っても面白いと思います。(高級緑茶や和菓子の提供など)
今後もスターバックスが、素晴らしい企業として、日本で、そして世界で活躍することを心から期待しています。