2007年9月14日金曜日

タビオ-経営戦略Ⅱ(サプライチェーンマネジメント)

9月14日終値¥1,854

経営戦略:WHO(誰に)、WHAT(何を)、HOW(どのように)の続きで最も重要なHOWの部分だが、

国産品を、製造協力会社との緊密な連携によって、市場の流れに合わせて小口調達、販売する。

要するにSCM(サプライチェーンマネジメント)のお手本と言える、協力会社との素晴らしい連携によって、効率的なシステムを築いている。まさにタビオの成長の最もコアとなる部分と言えるであろう。

最初にタビオを靴下製造・販売の会社として紹介しているが、タビオ自体、実は製造は行っていない。(研究や高級品生産の工場は持っているが)





上の図にあるように、タビオとは商品の生産企画を行っている組織であり、そこから「靴下屋」を始めとする自社系列小売店に商品を卸す形となっている。実際の生産は協力工場で行っており、ユニクロなどで有名なSPA(Speciality store retailer of private label apparel)の典型とも言える。

しかしユニクロと違う点は、(ユニクロが主に中国の協力工場に生産委託してコストを下げているのに対し)、

国内生産にこだわっている

ことである。タビオの社長の理念の一つに「日本の靴下の品質の高さを世界に知らしめたい」というものがある。しかし、アパレル業界が中国産に席巻される中でも特に顕著に中国生産のメリットがあるように思われる(デザインよりも価格、大量生産)のが靴下であるが、そこで勝つのだから驚きである。

国産によるSPAを成功させている秘訣は大きく2つ上げられる。

①徹底した在庫管理・小口生産

http://tabio.com/jp/corporate/about/network/
このページで紹介されているように、タビオでは市場により近いところで生産を行うことで市場のトレンドを反映し、また小口生産(靴下は通常大量ロットでの生産でコストを下げている)で商品補充していくことで、在庫に関しては極力神経を配っている。

現場での正確で細かい販売情報を得るために、タビオはコンピューターシステムの普及する以前から下のような努力をしていたというエピソードが紹介されている。

靴下に管理カードを挟んでおき、商品が売れたときにレジでカードを抜き取る。カードをまとめて一括して本部に送ってもらい、本部で数量を計算するというものです。販売数量を正確に把握でき、販売員の作業負担は大幅に緩和されましたが、取引先が1374店舗にまで増えるにつれ集約作業が増大し、今度は本部の営業が集金に回る時間もなくなってしまいました。

今ではもちろんCSM(Customer Service Management?)という物流センターを協力会社とともに組合を設立して高度な物流管理をしているが、それでも社長は言っていた。

私は40年以上この世界で商売やってるが、作った商品は必ず足りない、または余る。作った分だけぴったり売れたことは一度もない!

これだけの在庫に関するこだわり、厳しさが高いレベルのシステムを産み出すのだろう(中小企業でも多くの経営者が自らの在庫管理が完璧だと錯覚しているはずである)。

もう一つのタビオの秘訣は、

②徹底した機械化

であろう。とにかく機会で出来るものは、徹底的に機械化する。タビオではいわゆる後工程といわれる、靴下のペアリング(2つをまとめる作業)、パッキング(袋に入れる作業)、シール貼りなどの作業まで一括して機会で行うことの出来る設備を協力工場に備えている。

またリンキングという工程が靴下製造においては重要らしいが・・・

参考:
ロッソ・リンキング
開いたつま先を縫合します。ミシンで一直線に縫い合わせる「ロッソ」と靴下の編目を一目ずつ拾う「リンキング」という2種類の手法があります。リンキングで縫製した靴下はつま先に山がなく、履いたときのゴロゴロ感がありません。


これまで機会で行う夢の機械をタビオは開発したようである。


国産にこだわり、靴下でとことん勝負するタビオ・・・靴下の会社なのに、クールな会社である。









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