2007年6月30日土曜日

GOOGLE-まとめ

6月29日終値$522.70

GOOGLEのすごいところ、それはあげていけばきりがないが、企業としてデータで説明できるものとして、そのビジネスモデルの徹底ぶりであろう。経営戦略のところで触れたようにGOOGLEのビジネスモデルは

(検索を核とした)ネットサービスの無料提供

これにより多くの利用者を惹きつけ、

検索内容、またはサイトコンテンツに連動した(主に企業の)広告

によって収入を得るというものである。そして1兆円を超える売上の(06年予想10.6b)99%近くが、広告収入であり、しかもその殆どがadwords(検索連動型広告)adsense(サイト内容連動型広告)と呼ばれるネット上でのテキスト広告によるものである。

ここで日本の広告大手、電通と少し比べてみる。電通は売上が2兆円強(07年3月期)とGOOGLEよりも売上規模ではやや勝っている。電通は総合広告会社なのでテレビ、新聞広告からネット広告、または各種企画事業まであらゆるタイプの広告を扱っているだろう。(ちなみにテレビ関係が47%と半分近く約7500億円を稼いでいる)広告業以外にも1000億円以上(5%強)の売上を計上している。

その電通の経常利益は約700億円(3.3%)、GOOGLEのGROSS PROFIT(06年INCOME FROM OPERATION)が3.55b(約4400億円、利益率33%)である。

この驚異的な利益率の違いは、もちろん時代の潮流に乗ったGOOGLEが世界中で話題になっているパブリシティ効果だけでなく、やはりビジネスモデルの徹底による超がつくほどの効率経営であると言える。

GOOGLEから学べることはやはり、(いつも実感させられるが)自らのドメインをしっかり見つめていくこと、そして多くの人に利便性を提供すれば、言い換えれば

社会に利益を提供すれば(例えそこから利益は得られなくとも)、必ずそれは廻り廻って企業に利益をもたらす

ということであろう。

GOOGLEに関してはこのところ(強すぎるが故に)ネガティブなニュースが多い、挙げていけばきりがないが、下のようなニュースは毎週のように出てくる。
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/06/30/ngoogle130.xml

あるイギリスの企業経営者が自らの会社に不利益を及ぼすコメントを掲載しているサイトリンク(検索上位にくるのだろうか)を削除するように求めているらしい。

いずれにしても
A successful legal challenge could be catastrophic for all search engines in the future
とあるように、GOOGLEが今後(一時のmicrosoftのように)あらゆる形で法廷闘争に巻き込まれることは必至であるが、法廷での勝敗よりも世論の支持を受け続けることが重要になってくるだろう。


こうした話は、(GOOGLEが反論するように)突き詰めれば対応しようがない。しかし、今ネット上でGIANT(巨人)と呼ばれるGOOGLEにとって今後今まで以上に社会性が求められてくることは必然である。

GOOGLEの未来、GOOGLEに期待することをあげたら(GOOGLEの規模、高度な技術、社会的な支持を考慮すると)数限りないが、皆がもっとそのようなことを議論しても良い時期に来ているのでは(GOOGLEの存在をネット社会のために活用すること) 。

個人的にはGOOGLEのサイト検索技術を活かして、

有害サイトの検索、公開システムを構築できないものか

と期待している。もちろんGOOGLEが突っ込んでサイトの削除までする必要はない、しかしネット上での悪人を効率的に探し出すことができれば、あとは数十億の世界中のネット利用者がそれらをどのように処分するかを、民主的に決定していくことができる。問題は悪人がどこに存在するかわからない、だからこそ(見つからないから)悪人がどんどん増えていく、というところにあるのだから。

素晴らしい企業GOOGLEが、今後も世界中のネット利用者に幸せを提供し続けていくことを確信している。

2007年6月28日木曜日

GOOGLE-財務

6月27日終値 $526.29

GOOGLEの財務分析であるが、サイトに公開されているサマリーを見てみた。(06年第4四半期決算)

GOOGLEは98年の設立より急激に成長してきているわけだが、ここに公表されている05年、06年通期のデータでは、その成長率も落ち着いてきている感がある。

しかしREVENUE(売上)が、05年6.14billonから06年10.6billionと、直近でも42%の成長を遂げている。これでも数年前までの数百%の成長から比べると落ち着いてきたと言え、この程度の成長率はまだ数年は続くと思われる。

根拠はグローバル利益であろう。GOOGLEは日本を始め多くの国々での拠点をアメリカ本社でほぼ一括管理しており(07年現在)、海外(アメリカ以外)での収入が総収入の44%(06年第4期)としている。本拠アメリカでの事業が安定してきている(アメリカでは既に相当の市場シェアを占めていて、今後は防戦に回る場面も出てくるだろう)事を考えるとこの比率(海外比率)は今後も伸びていくことが予想され、日本や中国などの巨大な人口を抱える国で未だシェアを伸ばすチャンスが大きいことを考えると、数十%程度の成長率を後数年(5~10年)続けていくことは十分可能であろう。

またGOOGLEはREVENUEの殆どを広告収入として稼いでいる。殆どというのも、なんと06年REVENUE$10.605billionのうち$10.493billionと99%が広告収入で、その徹底ぶりはすごい。(ちなみに06年で$112milliomがLicensing and other revenuesとして計上されている。)

つけ加えて気になるのが04年から05年にかけてキャッシュが急激に増えており(04年$2.13bから05年$8.03b)、これに伴って会社も積極的な戦略を繰り広げ、業態を大きく変化させている(カスタマイズドHPなどの提供により大きくそのサービス範囲を広げた)。要するにこの時期(04年、05年)がGOOGLEの成長過程の大きなキーであり、個人的にはGOOGLEは安定成長期に入ったと見ている。

リンク(financial tables)
http://investor.google.com/fin_data.html

2007年6月27日水曜日

GOOGLE-ブログ

6月26日終値 $530.26

GOOGLEのブログ分析だが、GOOGLEに関するブログは言うまでもな星の数ほどある。

GOOGLEは企業として公式ブログを公開している。
http://googleblog.blogspot.com/
日本企業は現在公式ブログを公開している企業はまだ少ないが、アメリカはこの分野は進んでいる。

ちなみにGOOGLEは、GOOGLE JAPANでも公式ブログを公開している。
http://googlejapan.blogspot.com/
日本GOOGLEの企業文化が見える。

続いてこのBLOGGER(GOOGLE傘下のブログツール、このブログはBLOGGERを利用させてもらっている)の、ブログ
http://buzz.blogger.com/

YouTubeブログは面白い(ちょっと字が小さいが・・・)
http://www.youtube.com/blog

ちょっと今回内容まで突っ込んで分析する時間がなかったが(反省)とにかくアメリカ企業は関連ブログが多いので、サーフしていると楽しい。GOOGLEに関しては(企業の成長性は疑いがなく、一般に賞賛の声が多いのが逆に反感を招くのか)ネガティブな内容のブログも多いのが目立つ。

2007年6月22日金曜日

GOOGLE-買収戦略Ⅱ



6月21日終値 $514.11




GOOGLEが、ここ数年で買収している企業について、簡単に分析していく。




ちなみに現時点で「グーグル 買収」で132万件、「google + acquisitions」で256万件の検索ヒットがある、ここ数年と言ってもGOOGLEは短期間にかなりの数の買収を行っている。




WIKIPEDIAで紹介されている、GOOGLEの買収リスト(07年6月現在42件の買収がリストされている)は非常にわかりやすいので、こちらを参考にしたい。




まずはこのブログでも利用させてもらっているBLOGGERを03年の2月とグーグルの成長過程の早い段階で買収している。




今後ブログがネット上でのかなりのプロパティ(場所)を占めるであろうという、先見力を示すものである。ちなみにこのブログサイトはデザインが非常にシンプル、クールであり、日本語によるサポートが充実されたら日本でも利用が広がってくるのではないか。




続いては04年10月のkeyholeの買収である。keyholeは立体的な地図データソフトを制作する会社であり、GOOGLE EARTHにその技術が使われている。このGOOGLE EARTHの技術は、その高度な技術はもちろん、これをネット上で無料で提供してしまったGOOGLEの戦略に世界中の利用者が驚かされた。(同時に世界中の多くのデジタル地図ソフト会社のビジネスを奪ったことにもなるが)




さらには06年3月Upstartleを買収する。この会社はWritelyというウェブ上でのワープロソフトを開発していたごく小さな企業であった。この買収によりGOOGLEは昨年よりdocs & spreadsheetとしてまたこれも無料でウェブ上のワープロソフトと表計算ソフトを提供している。これはofficeのドメインに進出することでmicrosoftに対抗していることが、鮮明な戦略と言える。(05年に2Web Technologiesというウェブベース表計算ソフトの会社も別に買収している。)




GOOGLEの買収戦略のハイライトといえば、やはり昨年(06年11月)のYouTube買収であろう。これは比較的小さな買収を繰り返していたGOOGLEにとっても大規模(16億5000万ドル)なものであるが、その金額を上回るインパクトをネット利用者に与えた、と言える。YouTubeの高度な動画配信技術と、GOOGLEの検索技術を融合させた、買収によるシナジーのお手本と言える。




最新ニュースとして、GOOGLEは今月(07年6月)Zenter(ウェブプレゼンテーションソフトの開発)を買収し、これによりウェブ上でのアプリケーションの穴を埋め、ウェブアプリケーションにおいて、microsoftへの攻撃態勢を整えたと言える。




これらの買収はGOOGLEのstock market(株式市場)での強い立場(時価総額約20兆円)により株式交換で、殆どキャッシュアウトなしに粛々と行われている。




次にGOOGLEが狙う企業は、狙うドメインは、そしてGOOGLEの目指すウェブ上での世界とは、我々には現時点では創造もつかない。




2007年6月16日土曜日

GOOGLE-買収戦略Ⅰ

6月15日終値$505.89

昨今の世界的なM&Aの流れの中で、GOOGLEはその主役企業の一つとなっている。

GOOGLEは優れた検索技術を持ってはいたものの、ほんの4~5ねんくらい前まではそのウェブサイトには検索窓があるだけの、よく言えばシンプル、しかし裏返せば無味乾燥なものであった。

今でもそのシンプル性(必要なものだけを提供する)は維持しつつも短期間に様々なツールを追加している。ウェブ上でのワンストップサービスを提供するiGOOGLEというパーソナルドホームページによって個人の好みに合わせ、必要なツールのみを手軽に利用できる形で、少し前まで「ポータルサイト」、と呼ばれていた領域に急速に侵略している。





何故これほどの短期間に、高機能なウェブツールを次から次へ追加していくことができるのか?

この答えがGOOGLEのM&A,というよりA(acquisitions:企業買収)である。

GOOGLEは2002年度から06年度までの4年間に売上が約4.4億ドルから106億ドル(約24倍) 、という急成長を遂げ今も成長途上として注目されている。

しかし同期間にトータルアセット(総資産)はなんと約2.9億ドルから185億ドル(約64倍) 、と収益を大きく上回る膨張をしているのである。

企業買収の主なもの(キーホール、Writely, YouTubeなど)については、次回分析する







2007年6月13日水曜日

GOOGLE―経営戦略

6月12日終値$504.77

GOOGLEの経営戦略を分析していく。

まずGOOGLEの事業ドメインは

サーチエンジンを中心としたネットサービス

ということになる。とにかくGOOGLEという企業は、そのスーパー機能のサーチエンジンを抜きにして語ることはできない。

もちろん強みは

サーチエンジン

である。 サーチエンジンそのものはもちろん、ネット上でのサーチエンジン提供のサービスもGOOGLEが初めて行ったわけではない。しかもYAHOOは、そのサービスにおいて市場を先駆け、GOOGLEの誕生した98年には既にネットサービスにおいて(ポータルサイトとして)確固たる地位を築き、多くのユーザーを取り込んでいた。

では何故後発のGOOGLEがその市場で勝ち上がることができたのか?

それは技術力(TECHNOLOGY)、または発想力(CREATIVITY)と言ってもよいかもしれない。

GOOGLEはそのサーチにおいてPageRankという技術を使っていると言われる。
これはLarry Pageの開発した技術で、基本的に

  1. 独自開発のサーバーインフラストラクチャを利用する。(従来型の大型サーバーによるサーチエンジンとは根本的に異なる技術)
  2. スピードにおいて圧倒的優位性を持つ
  3. 他のサイトからのリンクを「投票」としてサイトをランク付けする

などの特徴がある。 一般にこのサーチはロボット式と呼ばれYAHOOなどが提供していたカテゴリー式(ウェブ上の情報をカテゴリーに分け段階的に情報を探していく)とは、全く違った技術と言われる。

注:現在ではYAHOOなど多くの検索サイトがGOOGLE式のロボット検索に技術移行しているようです。



そして経営戦略、要するにどのように儲けているのか、
GOOGLEは昨年期(06年)で一兆円以上の巨額の売上をあげている。我々がGOOGLEユーザーとして日々様々なGOOGLEのネット上のサービスを利用しているが、GOOGLEに利用料を払うことはない。

GOOGLEは今ではサーチエンジンだけでなく、ワープロや表計算GOOGLE EARTH(3次元画像のの土地検索ソフト)、GMAIL(容量2872MBものメールサービス)など、高度なネットサービスを基本的に無料でユーザーに提供している。

そして収入源は主に企業からの広告料であり、そのビジネスモデル自体は従来から存在していたものだがGOOGLEのネット広告は検索連動型であり、従来のサイトバナー広告とは違ったものであった。

主に2つの代表的な広告システムがある。

ADWORDS:GOOGLE検索において利用者の入力した、キーワードに関係した広告を掲載する(検索結果とは表示を明確に分けている)
ADSENSE:ウェブサイトの内容に関係した広告を掲載する(このサイトでも登録している)

これらにより、我々利用者はキーワードに連動した、まさにそのとき欲しい情報に素早く、そして無料でたどり着くことができる。また企業側はピンポイントに自社の広告を潜在消費者に届けることができ、またユーザーのクリック数などにより課金されるシステムなので、効率的でまた費用対効果も計りやすいなど数多くのメリットがある

昨今我々はGOOGLEの高性能なサーチエンジンに慣れてしまい、そのありがたみを忘れつつあるような気がする。もし明日からGOOGLEがサーチエンジンの無料提供をやめる、と発表したのなら、我々はPCを前にして途方にくれるに違いない。そして、その数ヵ月後にまたGOOGLEが、そのサーチエンジンを有料サービスとして再開すると言ったのなら、我々は一体いくら払う用意があるだろうか?もちろんGOOGLEがそんなことをするとは思わないが、「無料でないのなら必要ない」と興味を示さないネット利用者は少ないのではないか。

2007年6月9日土曜日

GOOGLE-経営理念



6月8日終値 $515.49

GOOGLEの経営戦略を分析していく。
グーグルIRサイトの会社情報のセクションは日本語での翻訳がされている。(日本を重要マーケットの一つとして認識しているのであろう)

GOOGLEは1998年にスタンフォード大学の博士課程に在籍していた、Larry Page氏と、Sergey Brin氏が共同で立ち上げた(現在CEOはDr. Eric E. Schmidt氏)今年でまだ9年目の企業である。

こちらのエピソードは面白い。
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=RS2035041607062007
「実際のところ、Googleの共同設立者Larry Page氏は単に自分の博士号論文を完成させたかっただけ・・・」

論文作成の費用捻出のため、Larryが自ら開発したPageRankの技術をライセンスしようとしたが、どの企業も興味を示さなかったらしい。しかしこの時に先見性のある経営者が高額でライセンス取得していたら、またその後の世界を大きく変えたことになる。

まずGOOGLEの経営理念だが、
「GOOGLEが発見した10の事実」として紹介されている。

1. ユーザーに焦点を絞れば、「結果」は自然に付いてくる。
2. 1 つのことを極めて本当にうまくやるのが一番。
3. 遅いより速い方がいい。
4. ウェブでも民主主義は機能する。
5. 情報を探したくなるのは机に座っているときだけではない。
6. 悪事を働かなくても金儲けはできる。
7. 世の中の情報量は絶えず増え続けている。
8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
10. すばらしい、では足りない。

それぞれの項目に詳しい説明が付加されているので、またページの方を見ていただきたいが、企業理念としては少々長く(長すぎる?)なっている。

私なりにまとめると、

「独自の検索技術を(さらに上を目指し)常に磨き続けていく。そしてその技術を武器に世界中の、ネット利用者に(企業、個人を問わず)最高のサービスと幸せを提供して行こう」

実際GOOGLEの検索技術はすごい。IRサイトの創業者の手紙のページでこんなエピソードが紹介されている。

I found some minor swelling after feeling minor pain over a couple of days. A Google search brought up several pages with links to articles, all pointing to the same type of cancer… Without Google I would have ignored and possibly forgotten about the incident until it would have been too late. Google also helped me find the doctor who checked me out the very next day, and who organized surgery for the very same day he identified the cancer. It took me a long time to write and express my thanks to all of you who are working there. You are life savers!-


彼はちょっとした身体の違和感から、GOOGLEの検索により、自分が癌にかかっているかもしれないと気づき、GOOGLEの検索で最高のドクターを探し、即日手術して一命をとりとめた、という話である。


今や人の命をも救う「超高速検索技術」、また詳しく見ていきたい。



2007年6月5日火曜日

GOOGLE





6月4日終値$507.07


今月はネット検索技術を強みに世界を席巻しているネットサービスジャイアント、GOOGLEの企業研究をしていこうと思う。

注:GOOGLEはニューヨークのナスダック市場に上場されており、日本法人はあるが、日本の市場には上場されていない。

簡単な会社の概要を調べてみた。(1ドル121円で換算)

2006年(通年)
売上総額 $10,605million(1兆2832億円)
グロスプロフィット(粗利益) $6,380milliom(7,720億円)
ネットインカム(純利益) $3,077milliom(3,723億円)

時価総額 $158billion(19兆1,180億円)

グーグルを語るにあたって欠かせないのがその巨大なマーケットバリュー(時価総額)であろう。収益性の成長率も素晴らしいが、市場からの評価、期待もまた多大である