2009年2月27日金曜日

ポイント(日経新聞記事より)

27日日経新聞の13面、「逆風下の健闘企業」でカジュアル衣料小売り(SPA)のポイントが取り上げられている。

ポイントは09年2月期の純利益が前期比11%増の83億円と過去最高となる見込みで、増配(20円増の年100円)を発表した。26日の終値は前日比350円プラスの4050円。

記事ではこの不況下の強さの秘密を

「スピード経営」

と評している。

具体的には、

1.商品企画から店頭に並ぶまでのスピード(約2ヵ月)
2.在庫回転率の早さ(27回)

スピード経営による売上高営業利益率は17%(粗利率60%)と15%前後のユニクロを凌ぐ。

記事にあるチャートでは、縦軸に売上高営業利益率、横軸に在庫回転率が示され、ユニクロなどの同業社と比較されている。(ユニクロの在庫回転率は約10回、しまむらや良品計画では約15回)

上のチャートでは特に在庫回転率でポイントは他社を圧倒している。

回転率27回は記事にもあるが2週間で商品が入れ替える計算になり、これは高効率経営というより

足りない経営

である。現場では常態的に機会ロスが発生していることが想定され、ユニクロはこの水準を目指していない。

しかしポイントは敢えてこの「足りない経営」を選択している。

今後人口減少社会を迎える日本では、ポイントのように

商品やサービスを意図的に不足させる「足りない経営」

が多くの分野で求められるのかもしれない。

2009年2月13日金曜日

トヨタ(09年3月期第3四半期決算)

今月6日、トヨタの第3四半期の決算発表があった。

9ヵ月の累計では

売上 16兆9932億円
営業利益 2215億円
純利益 3288億円

営業利益より純利益が多いのは主に税負担額が大幅に減るため。

通期予想は

売上 21兆円
営業利益 ▲4500億円
純損失 ▲3500億円

ここ数年四半期単位での通期予想は消極的に見積もっていたトヨタだか、今回はそれほど消極的とも思えない。

地域セグメント別に見ると直近の四半期では、日本、北米、欧州と赤字転落している。ホンダと比較するとその他地域の伸びも鈍い。
具体的には(第3四半期地域別営業利益)

日本 ▲1643億円
北米 ▲2474億円
欧州 ▲434億円
アジア 405億円
その他 336億円
消去 205億円

合計 ▲3606億円

営業赤字の大部分を占めるのはやはり北米地域ではあるものの、懸念されるのは近年大型投資をしたロシア事業(欧州に含まれる?)である。現地生産や販売が軌道に乗る前に今回の危機である。特にロシア市場の崩壊規模は大きい。

新興国市場ではホンダにやや遅れを取るトヨタだが、対称的に国内における基盤とブランド価値は底堅い。

今後はプリウスの生産効率化による値下げ(インサイトと価格を合わせなければいけない)、IQで築いた超小型車技術の推進が期待される。

2009年2月7日土曜日

ホンダ(09年3月期第3四半期決算)

先月30日、ホンダの第3四半期の決算が発表された。

特に注目したのは9ヵ月の累計期間でなく、金融恐慌が本格的に始まった10月からの3ヵ月のデータ。

売上 2兆5333億円
営業利益 1025億円
最終利益 202億円

最終損益については関連会社の持分利益308億円を除けば赤字になるが、営業利益はしっかりとあげている。

ゼグメントごとの営業利益で見ると、

二輪事業 252億円
四輪事業 705億円
金融サービス事業 95億円
汎用その他 ▲28億円

となり、強みである二輪事業の安定感が伺える。

また地域別営業利益で見ると、

日本 ▲644億円
北米 701億円
欧州 11億円
アジア 250億円
その他 419億円

となり、足元の日本で赤字転落しているが、その他地域の伸びが目立つ。特にブラジルの市場が伸びているようである。

他の自動車メーカーが壊滅的打撃を受けている中、ホンダは底堅い印象を受けた。この時期にほとんど自社株買いもしていない。

さらには6日に発売された日本円200万を切る待望のハイブリッド車「インサイト」、これは売れるだろう。

トヨタと業界の覇権争いをするのはGMでもフォードでもなく、ホンダかもしれない。

将来は一般個人が保有できるような夢のある小型飛行機を開発してほしいものだ。

パナソニック(09年3月期業績予想)

パナソニックが10月28日に発表した09年3月期通期の業績予想を下方修正し、最終赤字となる見込みである。

具体的には、今回の修正により

売上 7兆7500億円
営業利益 600億円
純損失 3800億円

と予想している。

注目すべきは営業利益と純損失の差額4400億円である(税費用は計上していない)。この差額、即ち営業外損益についてパナソニックは

・国内外の拠点統廃合(27拠点の整理)
・固定資産の減損
・雇用構造改革(1万5000人の人員削減)

と説明、上記費用として3450億円を見込んでいる。

要するにリストラになるわけだが、自動車を始めとする他の大企業が数千数百の非正規雇用の調整や、工場の稼動調整などにとどめているのと比較するとラディカルな動きである。

企業体力や人材力は未だ衰えを知らず、今後はリストラだけでなく新規事業でも世間を驚かせて欲しい。

三洋電気を傘下に納め、成長事業であるリチウム電池にも力を入れるパナソニック。もたつくメガ自動車産業の頭を越して、パナソニックブランドの電気自動車を作ってしまうなんてのはどうだろう。

2009年2月3日火曜日

置き菓子(サンデー日経エコノ探偵団より)

企業の業績下方修正が相次ぐ中、菓子メーカーの好調が目立つ。

好調の一つの原動力となっているのが、この置き菓子事業である。

゛顧客の職場に専用のボックスを設置してもらい、その中にお菓子を入れておく。商品は全て一個百円で、代金をボックスに入れてもらうという無人販売方式゛(新聞記事より引用)

08年12月末でボックスの設置数は10万個を超える。年間売上30億円。(江崎グリコ)

国内菓子生産はここ数年横ばいで推移しているが、置き菓子は右肩上がりの静かなる成長事業である。

問題点は無人販売による盗難リスク(回収率95%)と、100円という単価の安さ、販売員のコストなど。

アメリカなどでは菓子類の自動販売機が普及しているが、この「置き菓子」のアイデアを発展させて、菓子の自動販売機事業を展開してみてはどうだろう。

単価はルートセールス(補充販売員)のコストを見込んで、スーパーなどでの販売価格より高く設定するべきだろう。