2008年8月31日日曜日

商店街振興策


先日姫路を訪れて、商店街のあり方について考えた。商店街については「一つの企業の運営」として考えるべきであり、組合組織はあるものの、一つ一つの商店が独立して経営している状況では改善は困難である。

姫路のメインの商店街は、姫路城からJRの姫路駅をつなぐ「みゆき通り」という商店街だが、日曜日の午後、人通りはあまり多いとは言えなかった。

一通り店を外から覗きながら歩いたが、目に付くような繁盛店は見つけられなかった。

中小企業診断士の中には商店街の振興に尽力されておられる方もいる。診断士の試験でも商店街振興策が(1次試験では)出題されるし、中小企業白書でもよく取り上げている。

多くの商店街は衰退の一途を辿っている

何故だろうか?これには商店街の歴史を考えなくてはならない。

姫路は商店街の問題を考える上で非常にわかり易いモデルである。商店街とは歴史上、主要な城の周りに出来た城下町に住む人々の生活を支えるものであった。そのためには、

人々の生活に必要な多くのものを商店街において提供する必要があった

食料品はもちろん、衣料、生活雑貨、遊興などさまざまな店舗が栄えたはずである。商店街を構成する店舗が例えば帽子屋ばかりであったら、人々は困ってしまう。

しかし現代、モータリゼーションが進み、昔にはほとんどなかった郊外店舗が現れ、そして郊外の強みを活かし大規模化して、生活を支える面での小売店の主役はすっかり郊外店に奪われてしまった。現代の商店街を訪れる人達は主に、

他の土地から観光に訪れた人々である

彼らは電車を利用してその土地を訪れ、駅の周りでその土地ならではの商品、またはサービスを探索して商店街を訪れる。しかし姫路の商店街で歩いた限り、姫路ならではの店というのは少なくとも俺の目にはとまらなかった。

商店街というのは、多くは駅前の一等地である。古くからその土地に根付き、その土地に店舗を構えて財を築いている。中には財など築いていない、または既に先祖の築き上げた財産は吐き出してしまっているところもあるだろう。

しかし土地の価値は周辺地域に比べて高い

土地を売れば金になる。その家系に残された権益を守ることが最も重要な戦略となる。店舗の価値を上げようなどという方向には気持ちは向いていない。 または新たに投資して、店舗価値を高めるには商店街の店主は高齢化し過ぎているし、そのためのキャッシュフローの余裕もないと思われる(後継となるべき若 い世代は商店街に見切りをつけて家を離れていたり、その土地の権益を守るために住居として利用している場合が多い)。

一言で言えば地方の商店街の改革は不可能であると思う

しかし理想論を言うのであれば(現実的ではないが)、商店街は公共団体が一括管理すべきである。

スキームとしては、

①(税金を使って)商店街の全ての店舗と土地を買い上げてしまう
商店街の全ての土地は公共団体保有の公有地となり、店舗は賃貸物件として管理する。

②商店街の基本戦略を策定する

この段階を含め全ての商店街運用において議会を通して市民の意見を反映していく。ここでは「選択と集中」が重要になる。地域として、何を売りたいのか?メッセージが訪問者に伝わるものでなければならない。

③古くなった店舗を全てスクラップし、一軒一軒の店舗面積を広げながら創造的に新たな区画を築く
基本的に車は通れない方が良い。

④投資家を募る

商店街に新しい店舗を作るための資金として地域から投資家を募集する。これは多くの市民が参加できるように、一口千円から、のように小額投資を可能にすべきである。この場合一つ一つの焦点に投資するのではなく、商店街全体への投資とする。当然商店街全体で利益を上がったときには投資家に配当として還元する。

⑤店主を募る
地域で若者を中心にアイデアを持った起業家を募集する。または市民から店舗アイデアを募集し、そのアイデアの担い手としての店主を募集する。

資金負担をかけずに若い起業家にチャンスを与える場を作ることは、商店街に限らず今後の日本(または成熟した先進国)の大きな課題であろう。

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